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石は自然に返さないでください

南の海
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これは2015年7月にアメブロで書いた文章を加筆修正したものです。
当時は今よりもっと「自然に返す」ということを教えていた方が多かったせいか、思いがけず反響が大きく、紹介してくださった方もいらして、常々さほどアクセス数も多くないブログが、この1記事だけで1万ビューを越えるという驚き。でも、それだけ興味のある方も多かったのだろうなと思います。
「自然に返す」この言葉の意味と行為を、もう一度考えて頂けたらと思います。

いつ頃のことだったか覚えていないのですが、気になって、テレビの前に走って行って見たので、自分でも石を扱うようになってからのことだったと思います。
多分、霊感商法を扱ったニュースのような話の中、だったかな。

2~3人でいっぱいになってしまうような小さな小舟に、ザルだったかバケツだったか忘れたのですけど、大きな容器をいくつか乗せた男性が海に漕ぎ出していました。

水色。
とても美しい海でした。
多分、日本でも南のほうでしょう。

彼は、小舟に乗せた容器いっぱいに入っていたものを、次々にざーっと、その美しい海に投げ捨てました。

彼が海に捨てていたのは、いわゆる、パワーストーンと呼ばれる石達でした。
ゴムのついた、丸いブレスレットの形のままだったと思います。

彼は業者です。
お客様が処分に困った石達を預かり、「自然に返します」という作業をしていたのでした。

彼の顔は映されませんでした。
当然です。
それは産業廃棄物の不法投棄行為そのものなのですから。

大阪府 産業廃棄物の種類について
  墓石などの石材製造業から排出される石片は、
 「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に該当します。
  なお、石材の原料となる岩石(花崗岩、安山岩等)を採取する
  採石場から不良品として排出される岩石は「鉱さい」に該当します。 

(2015年当時の大阪府のサイトより)

一般財団法人環境イノベーション情報機構 EICネット
自然石が廃棄物になる条件は?

石は自然の素材なのにとお思いかもしれませんが。
ブレスレットになっているビーズやタンブル、アクセサリー等になっている天然石は、自然石を元にした加工品です。
ツヤと輝きを出すために、オイルを染み込ませて研磨してあったり、崩れを防ぐために樹脂充填処理が施されていたりします。
現在はその大半が中国の工場で処理されており、実際のところ、それらの成分等は公表されてはいません。

自然の、切り出したままの石とは訳が違うのです。切り出したままの石のカケラでさえ、解釈によっては産廃の「鉱さい」です。

あ、勿論、肌につける分には、加工用のオイルも樹脂も問題はないそうですよ。ですが、粘膜などの場合は、全く分かりません。ですので小さなお子さまやペットなどが口にいれないよう、それだけはご家庭でもご注意くださいね。

以前、体内に入れる用途ってのが密かに流行ったこともありましたっけね。あれはねえ、怖い。ホッントーに、怖い。ドロッとしたものが出て来たってアンタそれ、化学反応による炎症だから!
この話は趣旨が違うのでここでは言及しませんが。

もし自然の素材であると言うならば、自然の素材である鉄と木でできたカナヅチだって同じことです。人の手で多少の加工が加えられた自然素材。
それを自然に返しますと言って、海や川に投げ捨てる人はいないのではないかと思います。他人の敷地内や、所有者のある山に埋めたり捨てたりなんて、誰もしませんよね?

捨てられたビーズを、水生生物が口にしてしまうこともあると聞きました。近所の小さな川にいるくらいの魚ならば食べはしないだろうビーズの大きさでも、大きな海洋生物だったら話は別です。ウミガメが、海に流れ着いたゴミを食べてしまう話を聞いたことはありませんか?
2023年現在、海洋のプラスチックゴミ問題が以前よりクローズアップされてきました。石はプラじゃないけども。

成分の分からない樹脂やオイルも一緒に川や海に廃棄されているってことだって、どうなんだ、それは!?ってお話なのです。

彼に自分が不要になった石を預けた人達は、この実態を知っているのだろうか。
知っていたとしても、自分では処分できないのだから、それがどう扱われようと、どう地球を汚そうと構わないと思うのだろうか。

二重にも三重にも、割り切れなさが沸きあがりました。

何より「自然に返します」という美しい言葉を使い、流れ作業的に、石達を大量に、あんなにも美しい海に投げ捨てているその業者に。

たとえばこれが、たったひとつの、あなたのブレスレットだったとしても、意味は同じだよ、ということなんです。

たとえ、全てのゴムや金具を抜き、きれいに洗って拭いて浄化して、その後に、静々と粛々と大切に両手に抱えて、いままでどうもありがとうと、感謝の意を込めて、そっと海に沈めてきたのだとしても。

やっていることは、この業者と同じことなのです。

美しい言葉で、ステキな儀式で装うことで、本質を見誤っていないか、そのことを、もう1度考えてみて頂きたいのです。

ただ、稀に、本当に持っていないほうが良いと判断されるものもあるかと思います。

そういう場合、もし土に埋めるのだとしたら、ご自身の家の敷地内にしてください。庭のないお宅は、植木鉢に土を入れて埋めてください。ゆめゆめ、そこら辺の山や神社仏閣などに行って、勝手に埋めて来ないように。

よく神社などに「奉納」してくると聞きますが、「奉納」とはそもそも神様に喜んで頂くためにするもので、不用品を引き取って貰うのとは違います。
ただ、場所によっては、預かって頂ける場合もあるので、予め調べて行かれるとよいかと思います。

そのほか、例えばうちでは、持っていないほうがいいと思う石などは幸い今までありませんでしたが、使わなくなった石や、主人が定期的に色を変えてしまう(笑)石など、水晶のさざれ石をたくさん入れた、少し大きめのガラス壷の中に埋めてあります。

不特定多数の手に触れるような大きなお店にあった石で、最初から、なんとなく何かあるように思うものではない限り、少なくともあなたが大切にしてきて、少なくとも一時あなたのためにそこにいてくれた石が、例えば疲れてしまったからと言って、スカスカになってしまったからと言って、即座にあなたを祟るのでしょうか。石ってそういうものなんでしょうか。

私には分かりません。
そうは思いたくない。それが本音です。

誰かに何かを言われたから、こうするものだと教えられたから、そのまま従うのではなく、あなたご自身で、もう1度、考えて頂きたいなと思います。

不要で手元にも置いておきたくない石達は、単純に、燃えないゴミですよ。

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石たちの保管、保存、廃棄の仕方について こちらもご質問の多い、石の保管保存廃棄についてです。
南の海

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